~外国につながる人たち~(20)杭彪さん
掲載
浜田市にあるリハビリテーションの専門学校で理学療法士を目指して学ぶ、留学生の杭 彪(コウ ヒョウ)さんにお話を伺いました。新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、今回はオンラインでのインタビューとなりました。中国の河南省から来られた杭さんは、島根でどのような学生生活を送っておられるのでしょうか。
SIC:島根に来られた経緯を教えてください。
杭さん:来日後1年半ほどは岡山の日本語学校に通っていましたが、その後島根に来て4年経ちました。3月には卒業する予定で、来月の国家試験に合格すれば理学療法士として東京の病院で働くことが決まっています。
日本語学校で学びながら専門を何にするか考えていた時、中国では体育教師の資格を持っていたので、スポーツに関する知識を活かせる職にしたいと思ってこの学校を選びました。
日本はアニメの印象が強くて、小・中学生のときはコナンが好きでした。当時は中国語(漢字)で読んでいましたが、今読み返すと翻訳が違っていました。(笑)
SIC:浜田での4年間はどうでしたか?
杭さん:これは外国人にとってとても大事なことですが、周りの人がみんな優しくて、特に困ることもなかったです。車がないので、買い物は不便ですが…。学校のある三隅町ではお祭り「みすみフェスティバル」が毎年あり(今年はコロナで中止)、この地域の文化は素敵だと思いました。一度ボランティアとして参加しましたが、神楽を観てとても面白かったです。生活に関しても、三隅支所の方が留学生にゴミの出し方などの必要なことを教えてくれました。
ここは特に自然が多くて良いですね!つつじ、さざんかがとても素敵で大好きです。学校では専門知識を身に着けないといけませんが、医療職なので知識量も多く難しいです。日本は医療職に対して厳しいですね。先生も厳しいです。学業の方が忙しくて、他のことをする余裕もなかったので、ここでは集中できて良かったです。(笑)
SIC:中国の味が恋しくなることはありませんでしたか?
杭さん:日本の食べ物に慣れました。ラーメンが好きで、よく友人と浜田のマルイチというお店に豚骨ラーメンを食べに行きます。美味しいですよ!でも普段は学食で食べることが多いです。1年生の時は少し時間にも余裕があってお弁当を持参する留学生もいますが、あまり自炊をしている時間がありません。
SIC:新型コロナウイルスの影響はいかがですか。
杭さん:学校の授業は、一時期オンラインに切り替わりましたが、今はすべて対面で行われています。4年生だったのでそれほどオンライン授業は多くなかったのですが、2、3年生は結構多く受けていたと思います。
一番の影響は、実習があまりできなかったことです。通常なら半年あるはずの実習が2カ月に短縮されました。受け入れ先で指導してくださった先生はとても優しかったのですが、患者と接しながら治療について考えると、自分の知識不足を痛感しました。期間が短かったこともあり、理解できないことや難しいことも多かったです。4月から就職が決まっているのですが、実習も少なかったので経験が不足していて…やっぱり心配や不安も大きいです。東京の病院に就職するため、こちらとは状況も違うし不安もありますが、日本でもワクチン接種が始まれば状況は変わると思いますし、大丈夫です。
SIC:中国のご家族は大丈夫ですか。
杭さん:大丈夫です。河南省はそんなに大変な影響はなかったです。外出できなかったときもありましたが、家族とは毎日電話していたので状況も分かり、安心していました。最近は1週間に1回、週末に電話しています。電話では家族全員と話しますよ。「今週はどうだった?」とか、お姉さんと子どもの話をしたりとか。姉には10歳、3歳の子どもがいますが、3歳の子にはまだ会えていません。
SIC:生活の変化や、周囲との関わりの変化などはありましたか。
杭さん:特にありません。三隅町では感染者も出ていないですし…イベント(お祭り)はなくなりましたが…。そんなに大きな変化はないですね。
SIC:行政や、地域の方にお願いしたいことなどありますか?
杭さん:そうですね…特にありません。何か困ったことがあれば学校の先生に相談していました。1年生のときは、どこに買い物に行けばよいのか、どこで何ができるのか分からなくて先生に相談して教えてもらいましたが、2年生になればもう慣れました。買い物といえば、コンビニ2つとスーパーが1つですから、迷いません。(笑)何回か地域の公民館で地域の方と日本の文化(料理・お茶・ゲームなど)を楽しむ交流会があり、参加しました。ゲームなどして、とても楽しかったですよ。
SIC:何かメッセージなどあればお願いします。
杭さん:そうですね…とにかく私たちの学校(リハビリテーションカレッジ島根)はすごく良いです。専門も良いですし、学校の場所(三隅町)も良いです。遊びの誘惑もないし、勉強に集中できますよ。先生もとても優しくて、何かあれば相談にのってくださいます。他の留学生にも来て欲しいです。
■最後に
2月に理学療法士の国家試験を控えている杭さん、コロナのことよりも何よりも、とにかく今は試験のことで頭がいっぱいになっている様子でした。島根での生活は、豊かな自然を楽しみながらしっかりと学業に専念されていたようで、多忙を極めた4年間だったと思いますが、周りの方にも恵まれて充実した学生生活を送られたようです。4月からは東京で理学療法士としてのキャリアをスタートされる杭さん、陰ながら応援しています!
(公財)しまね国際センターは~外国につながる人たち~を応援しています