益田で英会話講師をされている、カナダ出身のレネーさんにお話を伺ってきました。以前、英語とフランス語で絵本の読み聞かせイベントをしたときにご協力いただき、とにかく明るくてパワフルな方という印象だったレネーさん。カヤックで島根を横断したり、干し柿を作ったり、料理嫌いなのにお節を作ったりされている…という興味深いお話を聞き、島根での暮らしについてインタビューしてきました。

レネーさん

レネーさん

SIC:来日のきっかけは?益田での生活はどうですか?

レネーさん: たまたま日本で、山口県で英会話教室の講師の仕事を見つけて来日しました。当時は英語教師の仕事がたくさんあったので、ここをベースにしてアジアを回りたいと思っていました。あまり日本のことは知らなかったですね。
24歳のときに日本に来たので、もう30年経ちます。益田に来てからは27年!カナダより長いですよ。
来日当時の印象は…もう覚えていないです(笑)。夫と出会ったのは30代になってからで、昔は友達とあちこち飛び回ってたくさん遊んでいましたが、結婚して、今は益田で落ち着いた生活をしているところです(笑)。

益田はとても住みやすいですよ。故郷と比べて天気もいいし、年中色々できる。外で遊んでもいいし、私の地元より便利かも。みんな益田は不便というけど、電車もバスもあって色々と動けるし、自転車にも乗れるし。私の地元は、冬は自転車に乗るのは無理です(笑)。雪とか色々あって…天気が読めません。益田はいろんなチャレンジができるのがいいですね。

レネーさんの家のクリスマス。石見神楽の面の下にクリスマスソックスがぶらさがっています!

レネーさんの家のクリスマス。石見神楽の面の下にクリスマスソックスがぶらさがっています!

SIC:レネーさんの故郷はどんなところですか?

レネーさん: 私の故郷は、カナダのニューファンランド島というところです。知っていますか?一番東の島で、自然がたっぷりあって、寒い沖縄みたいなところかな(笑)。人がフレンドリーで、音楽が好きで…沖縄を北海道の北に持ってきたような感じ(笑)。私が育っていたところでは、毎晩どこかでライブをしていて、ギターひとつでも楽しめました。
小さな頃から親とキャンプに行ったり、キャンピングカーに乗ったりしていました。カヤックはカナダではしたことがなかった!とても自然が豊かなところで、海はあるけど、とても水が冷たいので…ここでカヤックは命がけ(笑)。落ちたら死んじゃう。有名なタイタニック号が沈んだ場所の近くです。お父さんと湖でカヌーをしたことはあります。父はアウトドアやキャンプが好きで、湖で泳いだりもしていました。

ニューファンランド島 St John's

ニューファンランド島 St John’s

SIC:益田では、地域との関わりはありますか?

レネーさん: 英会話スクールをやっていて、商店街の理事もしています。商店街でハロウィンなどのお祭りを開催して楽しんでいますよ。大変だけど。ハロウィンは結構昔からやっていて、子どもたちがお店を回ってお菓子をもらいます。子どもはお菓子をもらえるし、お店はPRにもなるので喜ばれています!一緒に回るお母さんたちは「えーこういう店があったんだ~」と言って新しいお店にも繋がりますから、いいイベントですね。
コロナでしばらくは縮小開催していたのですが、今年はようやく普段のハロウィンに戻ります!とっても楽しみ。かなり前からやっているイベントなので、上手にできた衣装は何年か空けて使いまわしています(笑)。 このトランプの女王の衣装はよくできているでしょう?お気に入りです。

クイーンになったレネーさん

クイーンになったレネーさん

SIC:休みの日は何をされていますか?カヤックにもよく乗っておられるそうですね?

レネーさん: はい、カヤックは3、4年前に始めました。島根を横断して、次は山口横断に挑戦中!何回かに分けて横断するのですが、あと3回くらいで終わる予定です。島根を横断した日、イルカの家族の群れを見たのが一番嬉しかった!

カヤックは、リラックスして、静かにメディテーションできるところが魅力です。イルカは少ないけど、鳥がいたり洞窟があったりして、アドベンチャー。
これはみんなやっていないかもしれないけど、まずは車で行って、その後カヤックに乗って、途中でカヤックを置いて、電車やバスに乗って帰るのも面白い!知らない街の知らないところ、知らないバス、知らない山道を通ったりして…面白いですよ!「小さな町にこんな素敵な海があるんだ!こんな素敵な自販機があるんだ!」とたくさんの発見がある。「どこから来たの?港まで乗せてあげるよ」なんて地域の人との触れ合いも面白いですよ。海からいきなり外国人が出てくるから、みんなびっくりします(笑)。ぽつんとある知らないカフェを訪ねてみたりするのも面白い。そして最後にカヤックを回収して帰ります。一人で行くことが多いですね。子どもたちには「行かない」と言われるし(笑)、夫とはなかなか休みが合わなくて…日帰りの時は一緒に行くこともあります。

大田の波根はお勧め!大きな洞窟があって、とても素敵でした。ピクニックできるぐらいの広さがありました(笑)。穴が二つあって光が見えて…有名じゃないかもしれないけど、とてもいい場所でした。浜田の馬島も面白いよ!島を回るのは本当に面白い。他にも島根半島などいいところがたくさんありますよ。

最近は、初日の出をカヤックで見ます

最近は、初日の出をカヤックで見ます

SIC:お正月にはお節を作られると聞きましたが…。

レネーさん: お節、作りますよ!子どもができて、外国風のクリスマスはやっていたけれど、せっかく日本で育てているので日本のお正月をやってみようと思ったんです。私は元々チャレンジすることが好きだったので、初めは1品、2品ぐらいだけレシピを探してきて作ってみました。よく聞く有名な栗きんとんとなますを作りましたが、実は自分がこれまで食べたことのないものだったから、それで合っているかわからなくて…。作ったものを夫に見せて「これどう?合ってる?」って聞きました(笑)。昔はYoutubeもなかったし、確認ができなかった。でも一応正解だったみたいです(笑)。そして毎年少しずつ品数を増やしていって、3年前にこうなった(※お節の写真)。でも、黒豆は毎年失敗。なかなかうまくいかなくてやめました。黒豆はもう毎年買っています。

お節を作りました

お節を作りました

SIC:島根(益田)で暮らしていて、困っていることなどありますか?

レネーさん: 30年前と比べて、だいぶ変わったね。ここに住む外国人たちも困っていることや、ぶつぶついうことももちろんあるけど(笑)、自分の国にいても困ることはあるし、どこに行ってもたぶんそれは同じ。困ることが違うだけだと思っています。もちろん言葉が通じない部分はあるけれど。

ただ、バスの乗り方がわかりづらいように思います。行き先が漢字で並んでいますが、それがどこなのかわからない…。ローマ字で書いてあっても同じです。地図があると嬉しい。オリンピックで外国チームを誘致した時にローマ字が増えたけど、「〇〇方面」の「〇〇」がどこかわからなくて…外国人だけでなく日本人でもわからない人が多いんじゃないかな。せっかくバスがたくさんあるから、もったいない。娘とも話していましたが、小学校でバスの乗り方を教えてもらえるといいね。バスは残ってほしい。
あとは、自然を増やしたい!夏でも街の中を歩けるように、木陰が増えるといいですね。私が思うのは、そんなところかなぁ。

■最後に
「大人なのに落ち着いてないんです(笑)」と笑うレネーさんでしたが、お仕事でも遊びでもとにかく全力で楽しんでおられる様子が伝わってきて、とても楽しいインタビューでした。何もないと思いがちな島根ですが、レネーさんのお話を伺っていると思わず自分もチャレンジしてみたい!島根暮らしをもっと楽しみたい!という気持ちになりました。今後もイングリッシュキャンプなどたくさん楽しいイベントを企画されているそうです。ぜひ島根を、益田を一緒に盛り上げてくださいね!

(公財)しまね国際センターは~外国につながる人たち~を応援しています