今回は、ロシア出身で現在浜田市内にお住まいの春日エレナさんにお話を伺いました。小学校と幼稚園に通う二人の男の子のお母さんです。そんな子育て真最中の春日さんは、浜田に来てもう14年経つそうですが、島根での暮らしや子育てなどについてお聞きしてきました。

SIC:日本で妊娠・出産を経験されたそうですが、不安はありませんでしたか。

春日さん:私は日本で産んだら安心、安全だと思っていたので、特に不安ということはありませんでした。長男は予定日を5日過ぎての自然分娩、次男は色々な事情があって帝王切開になりました。ロシアでも、妊娠中は母親の体重管理は厳しいですよ。日本とそんなに変わらないと思います。

ロシアでは、ロシアンダンスの講師をされていたそうです。

ロシアでは、ロシアンダンスの講師をされていたそうです。

SIC:ロシアと日本の子育てに違いはありますか。しつけなど、国によって違うと聞きますが…。

春日さん:そんなに大きな違いはないような気がしますが、ロシアに帰った時、周りの友人たちに「日本では子どもが5歳になるまでは王様のように扱って、5歳を過ぎると厳しく育てるんでしょう?」とよく聞かれました。ロシアでは、日本の子育てってそんなイメージなんですよ(笑)。
ロシアでも昔は厳しく育てたものですが、最近では褒めて伸ばす子育ても増えているようです。

上の子が小さいときは、浜田市子育て支援センター「すくすく」によく行っていました。母乳のことなど色々と相談できるので、よくお世話になっていました。これはロシアにはないと思いますね。また、浜田市には休日診療もあるので、本当に助かっています。

息子の七五三で、初めて着物を着ました!

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SIC:ご長男は小学生ですが、ロシアの学校と日本の学校に違いはありますか。

春日さん:ロシアの学校には参観日とか、親子が一緒に活動するようなものはありませんでした。ロシアの学校は11年制で、日本のように小学校や中学校が別々ではなく、同じ建物で11年生まで過ごします。日本とは少し違いますが、給食も掃除の時間もありますよ。
ロシアには日本の学校のようにPTAというのはありませんが、役員はあります。ロシアでは卒業式の後に盛大なパーティーをして、その後日の出を見に行くのですが、役員がそのお世話をします。

SIC:お子さんの幼稚園では、絵本の読み聞かせをされているそうですね。

春日さん:はい。読み聞かせグループに所属して、ロシアの絵本などを日本語で読んでいます。ロシアのお話は日本でも有名なものがたくさんありますが、私のおすすめは「てぶくろ」かな。この前息子の幼稚園でクリスマス発表会があり、今年は「てぶくろ」の劇もありました。

誕生日会。手作りケーキでお祝い!

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春日さん:時々、道を歩いていると子どもたちに「Hello!」と声をかけられます。私はロシア人でロシア語は話しますが、英語は話しません。子どもたちは外見を見て、外国人だから英語が通じると思って声をかけてくるのですが、外国語は英語だけではありません。でも、あまりによく「Hello!」と言われるので一度「Hello!」と返してみたら、子どもたちはとても喜んでいました(笑)。最近は、子どもが喜ぶから返事をしています。この前ロシアに帰ったときには、中国人観光客に「ニイハオ!」と声を掛けるロシアの子どもたちを見かけたので、これは万国共通なのだなと思いました(笑)。
ちなみに息子もロシア語を話せるのですが、周りの子どもには英語を話していると思われているようです。

アクアス大好き!年間パスポートを持っていて、よく行きます。

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SIC:春日さんは今年度から島根県外国人地域サポーター(外国人住民と行政等の橋渡し役)に就任されましたが、今後やってみたいことなどありますか。

春日さん:実は、ずっとやりたかったことがあります。日本の小学生に、もっとロシアについて知ってもらいたいです。例えば文化とか自然とか、子どもの生活とか…紹介する機会があるといいですね。

■最後に
と、ここまでお話を伺ったところで幼稚園へのお迎えの時間が来てしまいました。二人のお子さんの子育てで忙しくされている春日さん、毎日子どもの宿題の時間は戦争です、と笑ってお話してくださいました。ロシアといえば島根とは関わりの深い国ですが、たしかに文化などそれほど多くは知られていないかもしれません。ロシアの文化を通して地域の子どもたちと世界を繋ぎ、またこれから日本で出産・育児をするママさんたちの良き先輩としてもご活躍いただけることを期待しています!

(公財)しまね国際センターは~外国につながる人たち~を応援しています