~外国につながる人たち~(12)シタンカカニー・ジハタイさん
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益田市内にお住まいのジハタイさんのお宅を訪ねると、異国情緒漂うエキゾチックな玄関から迎え入れていただきました。ご自身が28歳の時に結婚をきっかけにタイから来日し、現在は高校生になった息子さんと二人で暮らしていらっしゃいます。初めてお会いしたのは日本語教室にお邪魔した際でしたが、もう益田市に暮らして16年経つそうです。仕事や子育てなどで忙しくされているジハタイさんに、ここでの暮らしについてお話を伺いました。
SIC:お久しぶりです。お仕事を変えられたとお聞きしましたが、慣れましたか?
ジハタイさん:新しい職場に変わって、もう1年が経ちます。今度は正社員ですが、若い人はいなくて、ベテランの日本人の先輩がたくさんいます。現場が時々変わるので、その度に一からまた覚えなくてはいけないので、大変です。
SIC:息子さんもお元気ですか?初めてお会いした時はまだ小学生でしたが…。
ジハタイさん:元気ですよ。もう高校生になりました!早いですね…進路のことも考えないといけないような年になりました。Wi-Fiの繋がる部屋で、携帯でよく映画を見ていたり、あとは最近おしゃれに気を遣うようにもなって…私より鏡の前に立つ時間が長いかも(笑)。
息子とはタイ語と日本語の両方で会話をしますが、以前は参観日などに行っても「学校ではタイ語で話しかけないで」と言われていたのに、最近は学校でも息子の方からタイ語で話しかけてきたりするんですよ!あっちがダメって言っていたのに(笑)。
SIC:何か変化があったのでしょうか?タイ語が話せる高校生なんて素敵ですね。
ジハタイさん:最近、タイから益田に留学してきた高校生がいるんですけど、息子もその留学生とタイ語で話をしたり一緒にボクシングに連れて行ってあげたり、家族で付き合いがあります。そんなこともあって、外国語ができることを得意に思うようになったのかもしれませんね。
SIC:益田での子育てはいかがですか?タイと日本では学校の仕組みも違うのではないかと思いますが…。
ジハタイさん:そうですね、最初は分からないことが多かったのですが、それも自分の知識になると思って頑張っています。日本では給食があるけれど、私が通っていたタイの小学校では校内に屋台が5つ以上あって、そこで各自が自分の好きなものを買って食べていました。デザートやジュースもあるし、朝ご飯も売っているし…楽しいですよ。朝、お母さんからもらった自分のお小遣いで買うから、お金の使い方を覚えるのがとても早いです。休憩中、先生からアイスクリームの入った箱を借りて校内で販売すると、売れた分だけ先生にお小遣いをもらえたり、また家庭科の授業で作ったものを他の子たちに売って歩いたりもしていました(笑)。
タイの小学校では、日本のように授業参観やPTAなどもないし、親は学校でどんなことをしているかあまり分かりません。タイでは「先生の日」という日もあるように、教師は絶対的な存在で、タイには「モンスターペアレント」はいません(笑)。
SIC:ジハタイさんといえば、以前タイ舞踊を一度見せていただきましたね。
ジハタイさん:月1回、近くの公民館でヨガとタイ舞踊を教えていますが、もう4、5年になります。息子も踊れますよ。最近はステージでの出演はしなくなりましたけどね。以前、タイにいるときはタイ舞踊を教えていました。
息子がそのうち自立したら、また新しい人生が始まると思っています。タイから日本に来て、新しい体験をたくさんしました。私は新しいことに挑戦するのはとても大切だと思っていて、もちろん大変なことも困ることもあるけれど、それは後々自分の力になると思っています。仕事もそうですが、自分がこれからどんなことをしたいか、しっかり考えたいと思っています。
■最後に
日本語がまったく分からない状態で日本に来て、そこから仕事や子育てをして・・・いつも笑顔で明るいジハタイさんですが、きっとその笑顔の裏ではたくさんご苦労もあったのではないかと思います。ご近所のおばあちゃんにも気さくに声を掛け、周囲の人たちとの関わりを大切にし、またいつも前向きに物事を捉えておられる姿に頭が下がる思いです。またいつか、息子さんと一緒に優雅なタイ舞踊を見せてくださいね!