開催日 :
2024年6月23日、7月6日、7月7日、7月13日、7月14日、9月29日、10月5日
会場  :
島根大学松江キャンパス(松江市)、島根県立大学浜田キャンパス(浜田市)、オンライン
参加人数:
72人

外国にルーツをもつ子どもたちを支援するボランティア「子どもサポーター」の研修を全5回の日程で開催しました。参加者は子どもたちの置かれた状況や背景、課題を知り、学習支援や場づくり、関係づくりついて学びました。

参加者には、当センターが開催している「ゆめ教室」をはじめ、様々な活動への参加につながることを期待しています。

研修の内容と活動

第1回 外国にルーツをもつ子どもの教育について学ぶ

◆日時:6月23日(日)9:30-12:30
◆方法:オンライン(Zoom)

大阪大学大学院人文学研究科 准教授 櫻井 千穂 先生を講師に迎え、「外国にルーツをもつ子どもの教育」と題して、外国にルーツをもつ子どもの状況や子どもの言語発達、実践方法に関する講義を聞きました。

参加者は、基礎的な理論について話を聞き、実際の子どもたちの様子を動画でみてイメージをもち、地域でできる実践例などについて学び、外国にルーツをもつ子どものもつ可能性について様々な視点を得ることができたようです。

参加者の感想

  • 外国にルーツをもつ児童・生徒の学習支援と聞いて、私自身も、何となく日本語を教えることだろうと思っていました。まず大切なのは、その子の持っている知識や考え、アイデンティティを大切にし、その子が頭を動かして自ら何かを生み出せるような支援が大切だと実感しました。
  • ラベルとして言葉を教えるのではなく、体験や活動を通して言葉を使いながら覚えていくという事が印象に残りました。言葉だけでなく、概念も学習していかなくてはいけないので、外国ルーツの子達はいろんな壁があるんだなと再認識できました。
  • 「外国にルーツのある子どもを支援対象として見るのではなく、2つ以上の言葉と文化を持つ可能性のある子どもとしてみる」ということを肝に銘じたいです。他者をリスペクトすることは多文化共生の基本だと思いました。

第2回 外国にルーツをもつ子どもの状況を知る

【東部】日時・会場:7月6日(土)13:30-16:30 島根大学(松江市)
【西部】日時・会場:7月7日(日)9:45-12:45 島根県立大学(浜田市)

JICA中国 新川 美佐絵 さんによる国際理解ワークショップで、初めに言葉を使わないコミュニケーションを体験しました。

島根県の外国人住民の状況、島根県・出雲市・益田市における外国にルーツをもつ子どもたちの状況について説明を聞き、島根県の状況について、理解を深めました。

外国にルーツをもつ 三浦カロリナ百恵 さん(島根県国際交流員/ブラジルルーツ)、マハムドロハンさん(JICA職員/バングラデシュルーツ)、鹿野慈太(しかのじぇた)さん(広島文教大学/タイルーツ)の3人から、これまでの学校や勉強、就職などの経験や感じていることを聞き、外国にルーツをもつ子どもたちがもつ様々な背景や葛藤、強みについて考えました。

参加者の感想

  • お三方の話を聞いて、バックボーンや言語学習、悩みなどが各々違って、前に説明された背景の多様性を強く感じました。
  • カルチャーショックや、困難に乗り越えた経験を実際に聞くことができ、より異文化について理解が深まりました。また、どのような支援を必要としているのか聞くことができてよかったです。
  • アイデンティティについての三者三様の考え方を聞き、深く考えるきっかけにつながりました。
国際理解ワークショップ

国際理解ワークショップ

三浦カロリナ百恵さんの発表

3人のパネルトーク

第3回 外国にルーツをもつ子どもの力を伸ばす方法を学ぶ

【東部】日時・会場:7月13日(土)13:00-16:00 島根大学(松江市)
【西部】日時・会場:7月14日(日)9:45-12:45 島根県立大学(浜田市)

櫻井先生に来県していただき、「地域で実践!外国にルーツをもつ子どものことばとこころを育てる」の講義とグループワークで、子どもたちへの実践方法を学び、地域でできる活動について考えました。先生には、地域でできる活動、地域だからできることを考えるヒントをいただき、グループで考え、参加者全員で様々な活動アイディアを共有することができました。

参加者の感想

  • 外国にルーツをもつ子供一人ひとりの学習進度を理解してどういった指導だったら伸びるのか、考えるのが難しかったです。また、教えるのでは無く、寄り添い共に学ぶ環境づくりが大切だと分かりました。学習計画づくりではどうやったら4技能を使い、母語と日本語を使えるのかを組み込むのが難しかったです。
  • 色々な視点からアイディアがでたり、意見を聞けたりして、考えが広がりました。すぐ実践できそうな活動案もあり、実際の現場につながりそうです。
  • 外国にルーツをもつ子どもたちの支援をするということは、言葉や学習だけでなく、全人的な発達をするのだということが印象に残りました。愛情を持って接することが不可欠なことですね。
  • グループで活動を考えるうえで、子供が日本語を習得しながらも、たくさんの人と関わりを持てたり、新しい知識、経験を日本で増やしていくことができる、楽しいと思える瞬間がつくれるということがよくわかりました。間違えて捉えがちな私たちは支援をする側ではなく一緒に支援しながらも、日本で外国ルーツを持つ子供たちから何を学べるかを大切にしたいと思いました。

講義

グループワーク

グループ発表1

グループ発表2

第4回 外国にルーツをもつ子どもと接する

◆期間:7月~9月
◆会場:出雲市、松江市、益田市

参加者は、外国にルーツをもつ子どもの学習支援教室「ゆめ教室」の様子を見学したり、参加している子どもたちと勉強したり遊んだりしました。「ゆめ教室」への体験参加を通して、子どもと接することや活動のイメージを持っていただきました。

第5回 振り返り

【西部】日時・会場:9月29日(日)10:00-12:00 島根県立大学(浜田市)
【東部】日時・会場:10月5日(土)13:30-15:30 島根大学(松江市)

最終回では島根大学教育学部 准教授 香川奈緒美 先生に ファシリテートしていただき、島根県国際交流員 三浦カロリナ百恵さん、長岡祥乃さん、堀西雅亮さん(東部会場のみ)、内藤綾香さん(西部会場のみ)に改めて外国にルーツをもつ子どもの状況やそれぞれの活動についてお話を聞きました。その後グループに分かれて、状況を整理したり、必要な支援や自分ができそうな活動について話し合ったりしました。参加者にとって、状況や活動への理解が深まり、いろいろな方との関係づくりに役立ったようです。

参加者の感想

  • 皆さんのこれまでの取り組みを聞き、驚嘆するとともに、どのような支援ができるのかについて学ばせてもらいました。一方で支援にもいくつか課題があって、それに対する解決の糸口となるビジョンをもっておられて、先を見据えた意見をたくさん聞かせてもらえたことについても、貴重な経験でした。
  • 今回で最後の研修でしたが、全部の研修を通じて感じたことは寄り添い合うことってすごく大切だなと思いました。言語がわからないと仲間外れにされ、疎外感を感じて自分の中に閉じこもってしまうようなことがないように、地域という小さなコミュニティからでも関わり合っていき、あたりまえの押し付け合いがないように共生を目指していくこともまた大切だと感じました。
  • 外国にルーツを持っていること、複数の言語・文化の中で育つことは、特別なことや支援が必要であることではない、支援関係なく一人の人間としてその人について関心を持ち、関わっていくことが大切なのだと思いました。

グループワークの様子1

グループワークの様子2

グループワークの様子3