開催日 :
2024年7月20日(土), 21日(日), 28日(日)
会場  :
松江市市民活動センター 202研修室, 503研修室
参加人数:
1日目: 31人(会場18,, オンライン13), 2日目: 19人(会場11, オンライン8), 3日目:23人(会場13, オンライン10)

外国にルーツをもつ子どもの日本語学習支援について、3つのテーマに沿って学ぶセミナーを開催しました。
対面とオンラインのハイブリッド形式で開催したところ、県内各地からたくさんの方にご参加いただきました。

1日目:7月20日(土) 13:30-16:45

テーマ:ことばの習得と学習のつまずきを考える

(講師:永田良太さん/広島大学大学院人間社会科学研究科 教授)

前半では、まず、外国につながる子どもの日本語習得について、年齢・目的・母語との関係から考えました。次に、広島県教育委員会の依頼で開発された「たつじんテスト」のうち、「ことばのたつじん」の分析結果を踏まえて、学校で学ぶ子どもたち(日本語母語話者を含む)のことばと認知について考えました。

後半では、子どもの日本語力に応じた支援のあり方について、子どもたちの日本語力を評価する必要性と、それを踏まえた支援と指導の進め方についてお話を伺いました。

2日目:7月21日(日) 13:30-16:45

テーマ:「やさしい日本語」で保護者の教育参加を促す

講師:三成清香さん(島根県立大学人間文化学部 准教授)

これまでに講師が出会った保護者や子どものこと、参加者が出会った保護者や子どものことについて、それぞれの経験を振り返りながら、第一言語の違いがどのような困難を引き起こしているのか考えました。そして、言語の習得によって、解決できる問題があることや、選択の幅が広がる可能性があることについてお話を伺いました。

さらに、教育現場での<やさしい日本語>の必要性について考えるとともに、自分たちのできる支援とはどういう関わり方なのか考えました。

3日目:7月28日(日) 13:30-16:45

テーマ:個々に寄り添う支援-現場の視点から考える-

(講師:間瀬尹久さん/こどものひろばヤッチャル 代表)

広島市で2010年から活動を続けている「こどものひろばヤッチャル」の取組についてご紹介いただきました。事例も交えて、「ヤッチャル」が日本語を教えるだけでなく、同じ境遇の子どもたちとつながりを作ったり、相談にも乗ったりするなど、さまざまな役割を果たしているというお話を伺いました。また、外国語で算数の授業を受ける疑似体験も行い、ことばが分からない子どもの気持ちについて考えました。日本語支援に関しては、子どもの年齢やことばの習得の状況に応じて様々な教材を活用しているというお話を伺いました。

また、「ヤッチャル」に通った経験のある子どもたちへのインタビュー動画を視聴し、子どもたちの本音に触れ、子どもたちが将来、日本の社会で生きていくためにはどのような支援が求められるのか考えました。

参加者の声

  • 大人が当たり前に使っている言葉が外国にルーツをもつ子どもだけでなく、教室にいるすべての子どもにとっても伝わっていないことがあると気づけてよかったです。
  • 限られた時間でもできることが確実にあること、ポイントを絞る勇気を持つこと、従来の学びの型を今一度問い直すこと、等々、学び多き研修でした。
  • 保護者へのアプローチが子どもの学習や生活の支援に必要不可欠であると感じました。また、よかれと思って関わろうとすることが、当事者にとっては希望することではないこともあるということは肝に銘じておかなければなりません。
  • 子どもにより置かれている状況が本当に様々で、見かけだけの行動で判断するのではなく、気持ちに寄り添うことが大切だと感じました。そして、支援者が頑張りすぎず、適度な距離感をもつことも必要だと感じました。
  • 実際に指導され、様々な課題を見てこられた先生のお話を聞かせていただき大変有難かったです。想像もできないような困難さと向き合っている子どもたちに何ができるのだろうと不安がいっぱいですが、まずは無理せず「ここにいていいんだ!」と思ってもらえるような寄り添い方ができれば嬉しいです。