~外国につながる人たち~(32)ムハマッド・イルハム・ディンさん、ファトクール・ローマンさん
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2021年の11月、大田市内で行われた成人式にインドネシア出身の技能実習生が2名参加されたと聞き、早速取材に行ってきました。事前に拝見した写真には、式典会場でスーツに身を包み、凛々しく並ぶイルハムさんとローマンさんの姿がありました。今回はお二人を受け入れておられる株式会社山﨑組で実習生の指導係をされている岩崎さんも同席してくださり、3人にお話を伺うことができました。
SIC:お二人が来日されたのはいつ頃ですか?普段はどんなお仕事をされていますか?
イルハムさん:2年前の11月に、日本に来ました。最初は広島で研修をしてから、12月に大田に来ました。幼なじみが日本に行くというので、私も一緒に来日することにしました。足場の組み立てや解体、安全施設の設置などをしています。今は楽しいですが、インドネシアでは足場の解体などしたことがなかったので、最初は難しかったです。
ローマンさん:私は今年の2月に日本に来ました。日本語も勉強中です。日本語は会社で勉強しています。(※仕事で使う言葉などを学べる日本語教室を、会社で週2回開催されているそうです)
大田の言葉(方言)も先生に教えてもらいました。
岩崎さん:現在8名の技能実習生を受け入れています。現場が松江だったり浜田だったりと遠い時には車で移動するのですが、車中では日本人もインドネシア人も一緒になって雑談をしたり母国の歌を歌ったりしていて賑やかですよ。実習生はみんな若くて、仕事もよく頑張ってくれています。
SIC:成人式の写真を拝見しました。スーツもよく似合っていましたね!参加してみて、どうでしたか?
イルハムさん:とても緊張しました!
ローマンさん:(あいさつは)難しかったです…。スーツは、社長にもらいました。
岩崎さん:イルハムは自分でスーツを持っていたのですが、ローマンはまだ持っていなかったので社長が準備しました。靴は他の従業員に借りて…二人ともとてもよく似合っていました。会社から成人のお祝いも出しました。縁起を担ぐということでもありますが、従業員のチームワークをとても大切にしていて、日本人も外国人もなく普段から皆でよくバーベキューなどしています。成人式の後は焼肉に連れて行きました。二人とも本当に真面目で、日本語も頑張ってよく話してくれていて、嬉しく思っています。
SIC:休みの日はどのように過ごしていますか?
イルハムさん:二人とも自転車で買い物に行ったり、夏にはよく海に泳ぎに行ったりしていました。雪が降ると困ります。自転車はAmazonで買いました。(岩崎さん:みんな大きいものを買う時にはよくAmazonを利用しているようで、色々な荷物がよく届いています。(笑))JRで出雲まで買い物に行くこともあります。出雲のトライアルにはインドネシアの食べ物を売っています。あとは、ドン・キホーテやゆめタウンにも時々行きます。
岩崎さん:実習生の中には、バドミントンやフットサルをしに松江の方まで行く人もいますよ。二人はそれには行かないようで、夏はよく近くの海で泳いでいました。
SIC:お二人の故郷はどんなところですか?日本に来て驚いたことはありますか?
イルハムさん:二人とも中部ジャワのスマランから来ました。故郷は、大田と似ています。初めは日本なので東京みたいな街を想像していましたが、実際に大田に来て驚きました。インドネシアはクラクションもうるさくて賑やかですが、ここは人がとても静かだと思いました。
週に1回はインドネシアの家族とスマホでビデオ電話をします。仕事をしている姿を少し動画に撮ってもらった(※岩崎さんが撮影されたそう)ので、家族に送りました。
ローマンさん:私も初めは大阪みたいな街を想像していたので、びっくりしました。家族とビデオ電話をする時は、あまり仕事の話はしません。「何をしていたの?」「今日はどんなものを食べた?」と聞いたり、話したりします。
岩崎さん:実習生がインドネシア料理を作ってくれたり、ジャワコーヒーを入れてくれたりすることもあります。一番初めにジャワコーヒーを入れてもらった時は、飲み方(※挽いたコーヒー豆をカップに入れお湯を注ぎ、コーヒー豆が沈んだら上澄みを飲む)がわからなくて、そのまま粉ごと飲んでしまいました(笑)。ジャワコーヒー、とてもおいしいですよ!
SIC: 会社としても、実習生の皆さんをとても大切にされているのですね。
岩崎さん:そうですね。現在8名いますが、特に外国人だからということもなく、仕事もよく頑張ってくれているかわいい後輩という感じで、気に掛けています。インドネシアから来たばかりの頃は、冬服を持っていなかったので他の従業員が持ってきたり、インドネシアの家族のことや彼女がいるかどうかなども、大切なことなので聞いたりして。週に1回は部屋に顔を出して、困ったことがないか聞きます。
二人とも、本当に優秀な人材で助かっています。もうすぐ帰国する実習生が3名いるのですが、また特定技能という在留資格で戻って来てくれる予定なので、今度は色々な資格を取ってもらうことを考えています。実習生には帰国してもまた戻って来てほしいですし、みんなが家族を日本に連れてきてくれたら嬉しいですね。
■最後に
今回、日本語でのインタビューに一生懸命応えてくださったお二人でしたが、時々言葉に詰まったりうまく日本語で説明できなかったりした時などにさっと助け船を出してくださったのが指導係の岩崎さん。「かわいい後輩」と目を細めながら、社員旅行の話やみんなのお気に入りの中華料理店の話など、仕事以外にも様々なエピソードを紹介してくださいました。親元を離れ、厳しい仕事にも一生懸命取り組む実習生の皆さんのことを大切に想い、普段からよく気に掛けておられる様子がうかがえました。今後はN3(日本語能力検定試験)を取りたいと意気込むイルハムさんとローマンさん、今後のお二人のご活躍をお祈りしています!
(公財)しまね国際センターは~外国につながる人たち~を応援しています