【第3回】◆3.今後必要な支援体制について
私は現在、中国残留邦人支援に係る支援・相談員として市町村の職員と共に中国から引き揚げた方々の家庭訪問し、相談対応をしています。日本社会は「人間としての尊厳」をとても重視していますが、周囲の人々が新たに日本に来た彼女達の直面した困難について理解しているでしょうか。それに対しての支援策はいろいろ必要とされていますが、まず仕事の面でのフォローを積極的にしたほうがいいのではないかと思います。例えば、先のDさんの場合では、彼女の就職活動には家族の協力以外にも自治体の協力も必要ではないでしょうか。
また外国人を受け入れている日本企業等、個人を対象に生活適応指導や文化比較の講座を開催することも必要です。私の両親が二年前に日本に来た時、どんな料理でもてなせばいいか悩んでいました。すると、チャーハンが大好きなお義父さんはチャーハンにしたらどうかと提案しました。それを聞いて私はびっくりしてしまいました。お父さんは「え、いけないの?」と何もわからないようでしたが、中国ではチャーハン=手抜き料理なのです。それは当然お客さんに出す料理ではありません。麺類も同様です。もし、こういった異国の礼儀作法を知らずに自分の思った通りにおもてなしをしたら、きっと誤解を招いてしまうでしょう。
それに、もう一つ重要なのは、外国人を対象に日本で暮らしていく上での法的知識の講座を行政や専門家により開催していくことが必要とされていると思います。
役所から外国人への情報提供の窓口が開設されていれば、役所を尋ねた時に自治体が用意している案内が必ず外国人に届くはずです。さらに各言語で相談する窓口の案内があれば、とても便利ですし、外国人登録に来た時などに受付け業務だけで終わるのではなく、今後の生活に必要なパンフレットを配布したり、相談窓口の提案をしたり、一歩踏み込んだ行政であってほしいのです。
いま殆どの市に日本語教室が設けられ、たくさんの日本人のボランティアの方々が熱心に日本語を教えています。地域社会でも、いろいろな行事、活動に主催者は積極的に地域に住んでいる外国人を誘って一緒に参加することになっています。出雲市では年に一回のフラワー駅伝、出雲市駅前で毎年行われる国際料理屋台村など、国際化の向上を目指して、みんな一生懸命取り組んでいます。
地域の活動に留まらず、外国人が自治体行政へ参加することも大切だと思います。具体的に言うと、外国人の参政権のことで、外国人の地方選挙権の問題です。日本は豊かだということは国民的なコンセンサスだと思います。しかし、豊かさを達成した後、必ず問われるのはこの国の包容力です。在日外国人が長い間日本に定住する中で、市民として地域社会に責任ある義務と権限を持ってその社会の中に参加していくことが必要だと思います。
現在、地球の人口は60億人を越え、人の動きが激しさを増しています。一説によると、日々10億人の人が地球上を移動しているのだそうです。このような時代に生きる私たちに求められるのは、異文化を率直に認め、尊重し合うことではないかと思います。たとえ、異民族と直接触れ合うことがなくても、自民族の生活様式や思考方式も一つの生き方とするように、他民族・多文化に対しても同じように考えることが大切なことではないかと思います。どの国にも外国人と直接触れ合うことの少ない人、外国に出かけることの少ない人、つまり異民族体験の多くない人はいるでしょう。ここで大事なのは外国の人々の生活をあるがままに受入れるかどうかということです。
日本の15歳~65歳の生産年齢人口は1995年の8716万人をピークに急速に減っています。
つまり少子高齢化で働き手が減る中、日本社会が活性化するために外国人の受入れは避けられない事態となっていると思います。
インドネシアとフィリピンから受け入れる看護士や介護福祉士、日系外国人、中国からやって来た研修生など、様々な分野で日本人とともに日本社会に貢献する多文化的な社会の形成はこれからもっともっと重要とされるのではないでしょうか。ちょうどダイヤモンドのカットのように、たくさんカットがあったほうがきらきら輝くでしょう。
私の家には、定期的に日本で出版されている中国語の新聞が届きます。今の日本はいろいろな国の人々が住み、その母国語を中心にしたテレビや新聞がもっと出てきてもいいと思います。それを日本の社会は受入れなければならないですし、それが日本の文化を多角化していく結果になるだろうと私は思っています。
時代を遡ると、平安時代に中心だった近畿地方の主な氏族の家系を1000以上調べた記録が残っており、三分の一ぐらいは外国生まれでした。三分の一のうち半分は中国、半分は朝鮮半島です。みんな文化を持って日本に入ってきたわけです。日本文化とは、歴史的にいろいろなものが混ざってできているのです。
初めて日本に来た2002年、すぐこの国にひと目惚れをしてしまったのは、日本人のマナーや人と自然の融合などが私の心に響いたからです。これから素晴らしい日本は外国から来た人々にとってますます魅力的な国になるだろうと思います。
だんだん 謝 謝



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